DUO3.0例文解説メモ #061
DUO3.0例文の61本目です。
文法的には複合名詞が使われている文章です。複合名詞という用語を覚えることにあまり意味は感じませんがハイフンで繋いで単語を作るという感覚が重要だと思ってます。
海外ドラマのFriendsでもその場のノリで作られた複合名詞(造語)がいくつか出てきます。例を出せば、huge crap-weasel(とんでもない泥棒野郎)、un-me(私らしくない私)といった感じです。
little by little
「少しづつ」という意味の表現。byはこちらで説明しているように「傍」というのがコアイメージとなるので、little(少し)+by(傍)+little(少し)→「少しの傍に少し」となり、冒頭の意味につながっている。
son-in-law
「娘婿」という意味の名詞。up-to-date(最新の)やwell-known(よく知られた)等の複合形容詞と同じく、ハイフンでつないで一つの複合名詞にしたものとなる。分解して考えれば、son(息子)+in(範囲)+law(法律)→「法律における息子」となり冒頭の意味につながっている。
娘が結婚した人は血のつながりはないが、法律上は息子になるということ。なお、複合名詞の身近な例を挙げれば、baseball(野球)があり、base ball(二つの単語が分かれている形)→base-ball(二つの単語をハイフンでつないで一つの単語にした形)を経て最終的にbaseballという形に落ち着いている。
recover
「回復する」「正常な状態に戻る」という意味の動詞。語源は、re(再び)+cov(捕まえる)→「再び捕まえる」ということ。ここから、「一度失ったものを再度取り戻す」といったニュアンスとなり冒頭の意味につながっている。
この例文のように前置詞としてはfrom(起点)と相性が良く「失った時点」「悪くなった時点」から最終的に回復するということ。なお、longmanには日常ではrecoverよりもget betterがよく使われるとの説明がある。紛らわしいがcover(カバーする)とは語源的なつながりはない。
cancer
「癌」「かに座」等の意味を持つ名詞。語源は、癌が組織を侵す様子がカニが手足を広げる様子に似ていることに由来する。
spirit
「精神」「幽霊」「妖精」「霊魂」「魂」「気力」「勇気」「気分」「蒸留酒」「アルコール」等の意味を持つ多義語の名詞。語源は、ラテン語のspirare(息をする)に由来し、「神様が息を吹き込む」→「生命を与える」「力を与える」といったニュアンスを持つようになった単語となる。
少し哲学的な話になってしまうが、生命の根源は肉体のどこかに宿っていると考えられていたため、肉体からは離れた生命の根源(=魂)というような意味も持つようになっている。また、肉体の内部というニュアンスから「目には見えない」といったフレーバーも加わった単語となる。
以上のことを踏まえて、①実体がない生き物→「幽霊」「妖精」、②肉体から離れた生命の根源→「霊魂」「魂」、③目には見えない、その人を特徴付ける根源(根本)→「精神」「心」、④ある時における心の感情→「気分」、⑤「神様から与えられた力」→「気力」「勇気」という意味につながっている。また、「蒸留酒」「アルコール」という意味については、錬金術師が賢者の石(永遠の生命を与える石)を精錬しようと昇華、融解、結晶化、蒸留といった化学的操作を繰り返す中で、蒸留酒の製法を偶然発見し、アルコールを含んだ酒のことを生命の秘薬として用いられたことに由来しているらしい。
長くなってしまったが、この例文では④の意味で使われており、longmanには、be in good/high spiritsという形でbe excited and happy(興奮して幸せな精神状態ですよ)という説明がされている。
なお、日常会話では、主に③④の意味で使われることが多いが、③は単数形(不可算名詞:精神という形のないものは数えられない)、④は複数形(ある時という区切りにより可算となり、かつ色々な感情があるため通常複数形)となるので、この辺りも意識しながら例文暗唱するとよいと思う。
語源的には少し複雑だが、spirit(神様の息吹)という形で覚えておくと、後の例文で出てくるexpire(神様の息吹の外→期限切れ)、inspire(神様の息吹を中に入れる→鼓舞する)等の単語が直感的に理解できるようになるので、この辺りも意識しておくとよいと思う。
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