DUO3.0例文解説メモ #087
DUO3.0例文の87本目です。
expectの使い方には要注意です。
expectが状況によって釘を刺す表現になってしまうというのは、こちらで紹介している書籍に書かれていた記憶があります(どの書籍だったかまでは覚えてませんが)。
expect A to do…
「Aが…すると思う」「Aが…するのを(当然の事として)期待する」等の意味を持つ表現。動詞expectは「予想する」「(当然のこととして)期待する」等の意味を持ち、語源は、ex(外を)+spec(見る)→「外を見る」ということ。ここから、①外=これから起こる未来と考えて「予測する」、②外=これから起きるべき未来と考えて「(当然のこととして)期待する」といった具合に前述した意味につながっている。
両者とも「外=未来」という構図は同じなのだが、単に見るのか、願望を持って見るのかでニュアンスが大きく異なってくるので要注意。なぜこのようなニュアンスの差が出るのか正確な理由はちょっと分からなかったが、expectの語源を調べてみるとawait(待ち望む)というような意味が昔はあったようなので、その名残で「待ち望んで未来を見る」といったところから来ているのだと思う。そのため、この例文は、私たちは当然勝つということを予測(期待)していたというフレーバーが加わるのだと思う。
ちなみに、会社に遅刻した際に上司から、I expect you to come on time.と言われたら、明日は時間までにちゃんと来るように(私はあなたが時間に来ることを当然あるべき事として期待する)!!と釘を刺すような意味になるらしいので、expectに人を絡めた<expect A to do…>という形を使う場合はちょっと気を付けた方がよいと思う。
defeat
「(敵を)打ち破る」「(計画などを)潰す」等の意味を持つ動詞(名詞の意味もある)。語源は、de(反対)+feat(作る)→「何かを壊す」ということ。ここから「人やモノを打ち破る」といったニュアンスとなり、冒頭の意味につながっている。なお、Longmanにはスポーツや選挙で打ち負かすという場合は通常beatを使うと書かれている。
opponent
「(競技や争い等の)相手」「反対者」等の意味を持つ名詞。語源は、op(反対)+pon(置く)+ent(名詞語尾)→「反対に置くもの」ということ。ここから「争うべき相手」といったニュアンスとなり、冒頭の意味につながっている。
fail to do…
「(期待や必要に反して)…しない」「(期待や必要に反して)…しそこなう」という意味を持つ表現。この表現で使われている動詞failは「失敗する」という意味で覚えている人も多いと思うので、「…することを失敗する」という解釈をする人もいると思う。ただ、longmanの定義を見てみると、"to not do what is expected, needed, or wanted"(期待や必要なことをしないこと)とあるので、失敗という訳が万能とは言えない(試してダメだった場合は結果的に「失敗した」という訳とマッチするが、忘れてやらない場合は誤訳となる)。
この辺りを深堀するため、動詞failの語源を見ていく。この単語は、元々「騙す」ということに由来しており、そこから「つまずかせる(騙して転ばせる)」→「失敗する」「しくじる」という感じで意味が派生した単語らしい。一方で、辞書を引くと「失望させる」「(義務や責任等を)怠る」「(機械や心臓等が)停止する」等の意味を持つ多義語であることが分かる。これらを上手く結びつけるには、失敗するに至る一歩手前の「つまずかせる」という意味から「あるべき流れを切ってしまう」という感覚で捉えておくとよいと思う。ここで言う「あるべき流れ」というのは、「やるべきこと、出来ると期待していること」を指すので、流れを切れば当然責められるべき行為となる。こういう形で考えれば、結果的に失敗するという意味にもつながるし、「(義務や責任等を)怠る」「(機械や心臓等が)停止する」という意味も理解しやすくなると思う。
なお、この例文の場合は He failed to live up to our expectationsという形で使われているが、「私たちの期待に応える(私たちは彼なら出来ると思っている期待)という流れを切った」ということになり、文脈から「相手に勝とうとしたが結果的に出来なかった」ということになると思う。
参考までに、She failed to do her homework.という文章であれば「宿題をやる(学生として当然のこと)という流れを切った」となり、その理由は「忘れたため」「無視したため」等になるので、失敗という訳はマッチしない。
live up to…
「…に応える」「…に沿う」等の意味を持つ句動詞。分解して考えれば、live(生活する)+up(上がる)+to(到達)→「toで指定されるものに到達するように上がっていく」ということ。ここから、相手の期待に沿うといったニュアンスとなり、冒頭の意味につながっている。
expectation
「見込み」「(希望としての)期待」「(当然としての)期待」等の意味を持つ名詞。上記で説明したexpectの名詞形となる。longmanには、what you think or hope will happen(考えていることや期待していることが起きる)という定義もあるので、当然としての期待に加えて、希望としての期待というニュアンスもある印象。
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