【英文法解説】仮定法過去について ~仮定法の攻略~
仮定法過去は「現在の事実に反する内容ですよ」ということです。「動詞の過去形」を使って表現します。
仮定法の全体像は下記で説明しています。本記事から読まれている方は、まず下記記事を読まれることをお勧めします。
仮定法過去とは?
仮定法過去についての概要になります。
仮定法過去とは?
仮定法過去は「現在の事実に反する仮定・内容」「可能性の低い仮定」を表す表現です。具体例を挙げれば次のような文章です。
- ① If there were no water, the trees would not be green.(もし水がなかったら、木は緑ではないだろう)
- ② If you won the lottery, would you quit your job?(もし宝くじが当たったら仕事をやめますか?)
- ③ It is about time you got down to business.(君はそろそろ仕事に取りかかる時だ)
- ④ He acts as if he were a millionaire.(彼はまるで大金持ちのように振舞う)
赤字部分を見れば一目瞭然ですが「動詞の過去形」を使って表現しているというのが仮定法過去の特徴です。
なお、上記例文で、①は「現在の事実に反する仮定」、②は「可能性の低い仮定」、③④は「現在の事実に反する内容」となっています。
仮定法過去の直感的な理解としては「現在の事実に反する(起きうる可能性が低いものも含む)」ことを示すため「現在形から距離を取った過去形を使った表現」と考えるとよいと思います。
ちょっと補足
上記で説明した内容において、下記③④の「現在の事実に反する内容」を仮定法過去と呼ぶのに違和感を覚える方がいるかと思います。
- ③ It is about time you got down to business.(君はそろそろ仕事に取りかかる時だ)
- ④ He acts as if he were a millionaire.(彼はまるで大金持ちのように振舞う)
理由は、仮定という日本語は「もし~なら/だったら」を意味するのになぜ③④の内容は仮定法の括りなの?という疑問があるからです。
ネーミングに関しては、本記事の一番最後に記載してるのでとりあえずこのまま読み進めて頂ければと思います。
本題に戻って、③④の内容を少し補足すると下記となります。
③はget down to business(仕事に取りかかる)という部分を過去形にして「実際にはやってない」ということを明示し、本来はそうするべきだという含みを持たせた表現。
④はhe is a millionaire(彼は大金持ち)という部分を過去形にして「実際にはそうでない」ということを明示した表現となります。
なぜ動詞の過去形なのか?
仮定法過去は「現在の事実に反する(起きうる可能性が低いものも含む)」ということを示すため「現在形から距離を取った過去形」を使っていると説明しました。
ただ、例文として挙げた①は「If there wereではなくIf there was」、④は「he were a millionaireではなくhe was a millionaire」ではないの?と疑問に思われた方もいるかと思います。
この辺りは「接続法」と「直接法」の違いが関係しています。背景を知りたい方は下記記事を一読頂いた後、この記事を読み進めて頂ければと思います。なお、「覚えてしまえばいい」という方はこの項目自体を飛ばして頂いても大丈夫です。
厳密には接続法の過去
少し復習となりますが、上記リンクしている記事にて「英語は直接法と接続法の境界が曖昧となり、直接法メインの言語となっていったのではないか」という話をしました。
そして「接続法には直接法と異なる動詞の活用があり、動詞によって明確に法を区別している」ということも併せて説明しました。
つまり「直接法メインの言語となる」ということは、言い換えれば「接続法としての動詞の活用を意識しなくなる」ということです。
そのため、仮定法過去に相当する表現は、本来は下図で示す赤線(接続法側)の過去形を用いることになります。単なる(直接法の)過去形ではなく「接続法の過去形というのがポイント」です。
ただ、英語は直接法と接続法の境界が曖昧となり直接法メインの言語となっている関係で、青色で示される単なる(直接法の)過去形を用いるようになっているということです。
be動詞はなぜwereを使う?
上記で説明したように英語における仮定法過去は、基本的には単なる(直接法の)過去形と考えておけば良いのですが、be動詞に限ってはwereを使っています。
おそらくですが、be動詞のみ赤→青への移行が進まずに今でも赤で表現しているのだと思っています(これは管理人の完全な推測)。
ちなみに、カジュアルな文章ではwereを使わずに単なる(直接法の)過去形を使うケースもあります。例を挙げれば、スティーブジョブズがスタンフォード大学で行ったスピーチに下記文章があります。
文法的にはas if it wereが正解なのですが、単なる(直接法の)過去形であるwasが使われているのが分かると思います。上述の内容からも「接続法と直接法の境界が曖昧になっている」「英語は直接法メインの言語」というのが理解できると思います。
スティーブジョブズのスピーチも解説していますので、時間があればそちらも見て頂ければと思います。
条件文の帰結節について
冒頭で挙げた4つの例文の内、下記①②は「現実に反する仮定」を表した条件文となります。ここではその帰結節について説明していきます。
- ①If there were no water, the trees would not be green.(もし水がなかったら、木は緑ではないだろう)
- ②If you won the lottery, would you quit your job?(もし宝くじが当たったら仕事をやめますか?)
仮定法過去の帰結節は青字で書いたように助動詞wouldを使って表します。これは、will(意志・確度の高い予測)を少しマイルドにしたwouldを使うと理解しておけばよいと思います。
この辺りは大西先生の書籍でも分かりやすく説明されているのでそちらを参照頂ければと思います。
仮定法過去というネーミングについて
何度も繰り返しますが、仮定法過去は「現在の事実に反する内容ですよ」ということを表す表現です。
でも、仮定という日本語は「もし~なら/だったら」を意味するのになぜ仮定法の括りなの?という疑問も持つ方も多いと思います。実際、管理人もそのように感じました。
これは「仮定法過去」という表現は、本来「接続法の動詞の過去形で表現される」ためだと思います。
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