DUO3.0例文解説メモ #276
DUO3.0例文の276本目です。
virtual(バーチャル)と言えば「仮想」という意味を連想しますが、これは誤訳から来ているようです。
in those days
「当時は」という意味の表現。後の例文にthese days(この頃、近頃)という表現も出てくるので混乱しないように要注意。下のイメージを見てもらえれば分かるように、those(あれら)とthese(これら)は、それぞれthat(あれ)とthis(これ)の複数形となり違いは距離感。
近いものを指し示せば、these days(この頃、近頃)となり、遠いものを指し示せばthose days(当時)となるので、距離感の感覚を体に染みつけてしまえば混乱することもなくなると思う。
gigantic
「巨大な」「非常に大きな」等の意味を持つ形容詞。語源は、giant(巨大)+ic(形容詞語尾)→「巨大な」となり冒頭の意味につながっている。
corporation
「法人」「団体」「会社」等の意味を持つ名詞。社名を英語にするとき、TOSHIBA Corporation, Panasonic Corporation等のように使ったり、コーポレート○○といった表現を使うことがあるので、誰でも一度は見聞きしたことのある単語だと思う。
語源としては、ラテン語のcorpus(体、集団)から来ており、そこから前述した「法人」「団体」「会社」という意味に派生している。ちなみに、corpusという単語自体は英語にも存在しており「体」「コーパス」といった意味を持っている。なお、コーパスはテキストや発話を大規模に集めてデータベース化した言語資料のことで、たまにカタカナでも使われるので耳にしたことがある人もいるかもしれない。
語源から分かるように「体」というのがコアの意味となるので「組織」「オフィシャルに認められた」といった意味合いの強い単語になると思う。
virtual
「事実上の」「実質的な」「仮想の」等の意味を持つ形容詞。カタカナでバーチャル世界(仮想世界の意味)、バーチャルメモリー(仮想メモリ)等の使われ方をするので「仮想の」という意味については問題なく理解できると思う。ただ、この例文で使われている「事実上の」という意味を理解するのが難しい(仮想と真逆に感じると思う)。
この辺りについて色々調べた結果、そもそもvirtualという単語には「事実上の」「実質的な」といった意味しかなく「仮想の」は誤訳であるということが分かった。実際、longmanにも「仮想の」という意味は載っていない。
本題に戻り、virtualは「持っている力によって厳密には異なっていてもほぼ同等のことができる」といった意味合いを持つ単語となる。そのため、この例文のように「事実として独占していたわけではないが実質独占していた」といったニュアンスとなる。例えば、ひと昔前はパソコンOSと言えばWindowsが主流だったので(今ではMacもシェアを伸ばしているが)、「MicrosoftがパソコンOSを事実上独占していた」ということができると思う。実際に独占していたわけではないが、ソフトの互換性やサポートの関係でOSを切り替えれないので、結果Windowsを皆使い続け、事実上Windowsが市場を独占していたということ。雑学的な内容も含まれるが、今回調べた内容について下記にまとめておく(興味がある部分だけ読んで頂ければと思う)。
<仮想という誤訳について>
コンピュータの世界でvirtual memoryが発表されてこれを仮想メモリと訳したのが発端らしい。virtual memoryとは、本来のメモリではないが事実上メモリとして使える技術。具体的には、実際は1Gしかメモリ搭載していないがvirtual memoryにより4Gのメモリが搭載されているように見え、実際に4Gのメモリとして使うことが出来るということ。上述したvirtualの説明とも一致する内容になる。ただ、これを訳すときに「本来のメモリではない(=嘘)」ということにフォーカスを置いて「仮想の」と訳してしまったということ。
<VR(Virtual Reality)とは>
最近VRという単語を聞く機会がよくあるが、これはVirtual Realityの略で「事実上の現実感」というのが本来の意味。日本語だと「仮想現実感」といった訳になるのでちょっとニュアンスがずれてしまう印象がある。これもvirtualが「仮想の」と訳されて、バーチャル=仮想という認識が日本語で広まったことによる。
<virtualの語源について>
自分が調べた限りでは下記のような流れだった。virtualの語源は後の例文で出てくるvirtue(善)に由来しており、virは「男」という意味で、男に備えられるべき「勇敢さ」「強さ」等の特徴・性質を表していた。その後、意味が拡張され「美徳」「価値」等のより一般的に備えられるべきものも表すようになった。更に、道徳的資質(宗教の教えを守るための信念や希望)という意味にも拡張される。そして、生まれ持った力や効果があるといったニュアンスとなり、最終的に「持っている力によって厳密には異なっていてもほぼ同等のことができる」といった意味となる。
monopoly
「独占」という意味を持つ名詞。語源は、mono(単独の)+poly(売る)→「独占して販売する」となり冒頭の意味につながっている。前の例文で同じ接頭辞mono(単独の)を持つ単語としてmonarchy(君主制)が出てきているので、そちらの説明を読み返してもらえると語源ネットワークの強化につながると思う。
ちなみに、語根poly(売る)は覚えてもあまり有用でない印象なので、monopolyとして覚えてしまうのがよいと思う。なお、アメリカの不動産売買をするボードゲームにmonopolyというのがあるので、これを知っている人はそこから想像を膨らませればよいと思う。
over internal commerce
「国内商業全体を」という意味の表現。定型表現という訳ではないが、overの覆いかぶさるイメージを紐付けるのにちょうどよいと思いピックアップした。直訳すれば「国内商業を覆いかぶさって」となり意訳すれば冒頭の意味となる。overの使い方としては、all over the worldと同じだと思う。
commerce
「商業」「交易」などの意味を持つ名詞。語源は、com(一緒に)+merc(商売)→「一緒に商売をする」となり冒頭の意味につながっている。なお、テレビ番組の合間に流れる宣伝をコマーシャルと言うので、そこからのcommerceを商売と紐付けしてもよいと思う。
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