DUO3.0例文解説メモ #143
DUO3.0例文の143本目です。
alter(変える)は al(越えて)を語根に持つ単語です。日本語でもalien(エイリアン)やalibi(アリバイ)という単語が同語根を持ってますね。
slave
「奴隷」という意味の名詞(動詞の意味もある)。コンピュータ用語としても使われており、通信制御でマスター/スレーブ方式というのがある。制御は常にマスター側から行い、スレーブ側がそれに従うということ。ただ、これはデバイス内部で起きていることを表した技術用語となるため昔の奴隷方式とは一切関係がないらしい。
余談になるが、これまでマスター/スレーブ方式として浸透してきた用語が奴隷制を連想させるとして、Python(プログラミング言語の一つ)ではslaveという単語は、workerやhelperに置き換えるという決断をしたとのこと。
be anxious to…
「…することを切望している」という意味の表現。この表現で使われている形容詞anxiousは「心配している」「強く望んでいる」等の意味を持っており、語源は印欧語源*angh-(窮屈な)に由来している。そのため、この例文のようにbe anxious to…という形で前置詞to(方向・到達)で行き先を示してやれば「…に到達するのに窮屈している」となり、意訳すれば「切望」といった冒頭の訳となる。
なお、be anxious about…(…について心配している)という表現もあるが、これは「…について窮屈している」→「不安になっている」ということ。窮屈から意味を紐付けするのは少し分かりにくいところもあるので個人的には「何かを気にかけた状態」というイメージで捉えておくとよいと思う。be anxious about…で「…について気にかけている」→「心配する」、be anxious to…で「…に向かって気にかけている」→「切望している」ということ。
alter
「(部分的に)変える」「(服を)仕立て直す」等の意味を持つ動詞。語源は、al(越えて)+ter(比較級の末尾)→「より越えて」ということ。ここから、越えて他のものになるといったニュアンスとなり冒頭の意味につながっている。
ただ、これだと「部分的」というところが上手く紐付けれない。語源関係の本を読んでいると、alterという単語は「二つの間で」というフレーバーを持つ単語らしいので、語源としてのイメージは「二つの間で一方を越えて他方になる」といった感じになると思う。「二つの間で」という部分については、①AC電源(alternating current)がプラスとマイナスを行き来することを意味したり、②パソコンのキーボード上のAlt(Alternate keyの略)と他のキーを一緒に押すとそのキーの機能を別のものに変えることができる(例えば、TabキーをAltキーと一緒に押すと、ウィンドウ切替をすることができる)、といった身近な例を想像すると感覚的にもしっくりくると思う。
あまり良い例ではないかもしれないが、個人的には、二段階のギアチェンジが可能な自転車を想像し、①ギアを変える→自転車というベースは何も変わらないがその一部を変える、②状況に応じて適切なギアを選択する→状況にフィットするように部分的に変える→「適切な長さになるように服を仕立てる(部分的に変える)」という感じで冒頭の意味につなげることができる。
なお、この例文では運命の一部を変えたいといったニュアンスなのだと思う。もしくは、longmanにはalterは主に書き言葉で使われるという説明もされているため、この例文自体が書かれたものなのかもしれない。
最後にalterで使われている語根al(越えて)を持つ単語としては、alien(エイリアン:人間を越えた他の生物)、alibi(アリバイ:現場を越えて他の場所にいた証拠)といった身近なものがあるので、この辺りの単語と紐付けて覚えておけば意味を想像するのも容易だと思う。
destiny
「運命」「宿命」等の意味を持つ名詞。語源は、de(下に)+sti(立つ)→「何かの下に立たせる」ということ。ここから「運命の下に立たせる」→「定められた避けられない運命」といったニュアンスとなり冒頭の意味につながっている。
似たような語源から成り立つ単語にdestination(目的地)があるが、これは行く運命にある場所という感じのイメージとなり、ポジティブなニュアンスで使われることが多い。なお、後の例文で出てくるfate(運命)も似た意味を持つが、こちらは形容詞形であるfatalが「命取りになる」という死に関する意味となるので、ネガティブなニュアンスで使われることが多い。
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