【スティーブ・ジョブズのスピーチ徹底解説】スタンフォード大卒業式⑩
ジョブズのスピーチで有名なフレーズ “Stay hungry, stay foolish." (ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ)が出てきます。Berlitzの授業で「何か知ってる有名な名言は?」と聞かれて、とっさにこのフレーズを言ったのを記憶しています。
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本文(日本語+英語)
- When I was young, there was an amazing publication called The Whole Earth Catalogue, which was one of the bibles of my generation.
私が若い頃、全地球カタログという驚くべき出版物があった。私の世代の必読書の一つだった。 - It was created by a fellow named Stuart Brand not far from here in Menlo Park, and he brought it to life with his poetic touch.
それは、ここからそう遠くないメンローパークで、ステュアート・ブランドという男によって作られました。彼は、彼の詩的なタッチでその雑誌を良いものにしていました。 - This was in the late Sixties, before personal computers and desktop publishing, so it was all made with typewriters, scissors, and Polaroid cameras.
これはパソコンやDTPが登場する前、1960年代の終わりのことだ。だからそれはタイプライターとハサミとポラロイドカメラですべてが制作された。 - It was sort of like Google in paperback form thirty-five years before Google came along.
それはいわばペーパーバック版のグーグルのようなものだった。グーグルが登場する35年も前の。 - It was idealistic, overflowing with neat tools and great notions.
それは理想に満ち溢れ、そして素敵な道具やすばらしい考えにあふれていました。 - Stuart and his team put out several issues of the The Whole Earth Catalogue, and then when it had run its course, they put out a final issue.
スチュアートと仲間は「全地球カタログ」を何号か出し、一通りやり尽くしたあとに最終版を出しました。彼らは最終号を発行しました。 - It was the mid-Seventies and I was your age.
それは70年代半ばで私は皆の年齢だった。 - On the back cover of their final issue was a photograph of an early morning country road, the kind you might find yourself hitchhiking on if you were so adventurous.
その最終号のバックカバーには、冒険好きな人ならヒッチハイクでもしちゃいそうな早朝の田舎道の写真が載っていた。 - Beneath were the words, “Stay hungry, stay foolish."
その下にこんな言葉がある。「ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ」。 - It was their farewell message as they signed off.
これはスチュアート達が活動を終えるに当たっての別れの言葉だ。 - “Stay hungry, stay foolish."
ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ。 - And I have always wished that for myself, and now, as you graduate to begin anew, I wish that for you. Stay hungry, stay foolish.
そして私は常にそうありたいと願ってきた。そして今、皆が卒業して新たに歩みを始めるに当たり、皆もそうあって欲しいと思う。ハングリーであれ。愚かであれ。 - Thank you all, very much.
ご静聴どうもありがとう。
- When I was young, there was an amazing publication called The Whole Earth Catalogue, which was one of the bibles of my generation.
私が若い頃、全地球カタログという驚くべき出版物があった。私の世代の必読書の一つだった。 - It was created by a fellow named Stuart Brand not far from here in Menlo Park, and he brought it to life with his poetic touch.
それは、ここからそう遠くないメンローパークで、ステュアート・ブランドという男によって作られました。彼は、彼の詩的なタッチでその雑誌を良いものにしていました。 - This was in the late Sixties, before personal computers and desktop publishing, so it was all made with typewriters, scissors, and Polaroid cameras.
これはパソコンやDTPが登場する前、1960年代の終わりのことだ。だからそれはタイプライターとハサミとポラロイドカメラですべてが制作された。 - It was sort of like Google in paperback form thirty-five years before Google came along.
それはいわばペーパーバック版のグーグルのようなものだった。グーグルが登場する35年も前の。 - It was idealistic, overflowing with neat tools and great notions.
それは理想に満ち溢れ、そして素敵な道具やすばらしい考えにあふれていました。 - Stuart and his team put out several issues of the The Whole Earth Catalogue, and then when it had run its course, they put out a final issue.
スチュアートと仲間は「全地球カタログ」を何号か出し、一通りやり尽くしたあとに最終版を出しました。彼らは最終号を発行しました。 - It was the mid-Seventies and I was your age.
それは70年代半ばで私は皆の年齢だった。 - On the back cover of their final issue was a photograph of an early morning country road, the kind you might find yourself hitchhiking on if you were so adventurous.
その最終号のバックカバーには、冒険好きな人ならヒッチハイクでもしちゃいそうな早朝の田舎道の写真が載っていた。 - Beneath were the words, “Stay hungry, stay foolish."
その下にこんな言葉がある。「ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ」。 - It was their farewell message as they signed off.
これはスチュアート達が活動を終えるに当たっての別れの言葉だ。 - “Stay hungry, stay foolish."
ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ。 - And I have always wished that for myself, and now, as you graduate to begin anew, I wish that for you. Stay hungry, stay foolish.
そして私は常にそうありたいと願ってきた。そして今、皆が卒業して新たに歩みを始めるに当たり、皆もそうあって欲しいと思う。ハングリーであれ。愚かであれ。 - Thank you all, very much.
ご静聴どうもありがとう。
- When I was young, there was an amazing publication called The Whole Earth Catalogue, which was one of the bibles of my generation.
私が若い頃、全地球カタログという驚くべき出版物があった。私の世代の必読書の一つだった。 - It was created by a fellow named Stuart Brand not far from here in Menlo Park, and he brought it to life with his poetic touch.
それは、ここからそう遠くないメンローパークで、ステュアート・ブランドという男によって作られました。彼は、彼の詩的なタッチでその雑誌を良いものにしていました。 - This was in the late Sixties, before personal computers and desktop publishing, so it was all made with typewriters, scissors, and Polaroid cameras.
これはパソコンやDTPが登場する前、1960年代の終わりのことだ。だからそれはタイプライターとハサミとポラロイドカメラですべてが制作された。 - It was sort of like Google in paperback form thirty-five years before Google came along.
それはいわばペーパーバック版のグーグルのようなものだった。グーグルが登場する35年も前の。 - It was idealistic, overflowing with neat tools and great notions.
それは理想に満ち溢れ、そして素敵な道具やすばらしい考えにあふれていました。 - Stuart and his team put out several issues of the The Whole Earth Catalogue, and then when it had run its course, they put out a final issue.
スチュアートと仲間は「全地球カタログ」を何号か出し、一通りやり尽くしたあとに最終版を出しました。彼らは最終号を発行しました。 - It was the mid-Seventies and I was your age.
それは70年代半ばで私は皆の年齢だった。 - On the back cover of their final issue was a photograph of an early morning country road, the kind you might find yourself hitchhiking on if you were so adventurous.
その最終号のバックカバーには、冒険好きな人ならヒッチハイクでもしちゃいそうな早朝の田舎道の写真が載っていた。 - Beneath were the words, “Stay hungry, stay foolish."
その下にこんな言葉がある。「ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ」。 - It was their farewell message as they signed off.
これはスチュアート達が活動を終えるに当たっての別れの言葉だ。 - “Stay hungry, stay foolish."
ハングリーであり続けろ。愚かであり続けろ。 - And I have always wished that for myself, and now, as you graduate to begin anew, I wish that for you. Stay hungry, stay foolish.
そして私は常にそうありたいと願ってきた。そして今、皆が卒業して新たに歩みを始めるに当たり、皆もそうあって欲しいと思う。ハングリーであれ。愚かであれ。 - Thank you all, very much.
ご静聴どうもありがとう。
解説メモ
When I was young, there was an amazing publication called The Whole Earth Catalogue, which was one of the bibles of my generation.
- publicationは「出版物」という意味の名詞。publicが「公(おおやけ)」という意味を持っているのでこれに+ation(名詞語尾)を付加して名詞にしたもの。「公けにしたもの」→「出版物」ということ。
📘publish:動詞形はDUOの例文#011で説明済み
📘public:形容詞形はDUOの例文#192で説明済み - which was one of the bibles of my generation(私の世代の必読書)という部分は関係代名詞の非制限用法となっており、The Earth Catalogueを説明してる。なお、bibleは「聖書」という意味もあるが、この文章のように「必読書」という意味も併せ持っている。
📘非制限用法:DUOの例文#379、486で説明済
It was created by a fellow named Stuart Brand not far from here in Menlo Park, and he brought it to life with his poetic touch.
- fellowは「男」「やつ」という親愛を込めた呼び方。fellaというスラングも口語で使われることがある。
- bring…to lifeで「…を生み出す」「…を活気づかせる」「…を実現する」等の意味を持つ表現。bringは「持ってくる」という意味を持つ動詞なので「…を人生に持ってくる」という直訳から上述の意味につながるのが分かると思う。例としては、bring one’s dream to life(夢を実現する)、bring a party to life(パーティーを活気づける)といった表現がある。
📘bring:DUOの例文#092で説明済み
This was in the late Sixties, before personal computers and desktop publishing, so it was all made with typewriters, scissors, and Polaroid cameras.
- desktop publishing(デスクトップパブリッシング)とは、日本語に訳せば卓上出版や机上出版といった意味。書籍、新聞などの編集はパーソナルコンピュータ上で行って、プリンターで出力を行うことを指す。前の文で出てきた"The Whole Earth Catalogue"というのは、そいういった技術がまだない時代に苦労して作成されたということ。
It was sort of like Google in paperback form thirty-five years before Google came along.
- sort of…で「…のような」という意味。sortは「種類」という意味を持っているので、sort of…で「…の種類」という意味になる。感覚的な話をすると「…の種類」という表現を間に差し込むことで明言せずに内容をぼかす機能になるのだと思う。なお、この文章では更にlike…(…のような)が続いている。
📘sort of…:DUOの例文#315で説明済。 - come alongで「現れる」という意味の句動詞。分解して考えれば、come(来る)+along(長いものに沿って)→「みんなが歩んでいる道に沿って来る」といったイメージ。ここから「現れる」意味につながっている。
It was idealistic, overflowing with neat tools and great notions.
- idealisticは「理想主義的な」という意味の形容詞。ideal(理想)+ist(主義者)+-ic(形容詞語尾)→「理想主義的な」ということ。日本語でも○○主義という意味で「○○イズム」と言ったりするので接尾辞istが主義者という意味を持つのは理解できると思う。詳細を知りたい方はリンク先の説明を参照頂ければと思う。
📘ideal:DUOの例文#383で説明済 - overflowing with…で「…で溢れている」という意味の表現。分解して考えれば、over(越える)+flow(流れる)→「越えて流れる」ということ。ここから、溢れるといったニュアンスとなり、冒頭の意味につながっている。なお、プログラミング経験のある人であれば、オーバーフローという単語をよく耳にすると思う(計算した結果が変数の格納最大値を超えること)。
- neat toolで「素敵な道具」、great notionで「素晴らしい考え」という意味。
Stuart and his team put out several issues of the The Whole Earth Catalogue, and then when it had run its course, they put out a final issue.
- put outは「発行する」という意味の句動詞。分解して考えればput(置く)+out(外)→「外に置く」ということ。ここから公けにするというニュアンスが生じ冒頭の意味につながっている。また、この句動詞はコアイメージから多岐の意味に広がっているので気になる方はDUOの解説を読んで頂ければと思う。
📘put out:DUOの例文#472で説明済 - issueは「出版物の版」という意味。語源はスペルからは想像できないが、ex(外に)+it(行く)→「外に出る」ということ。ここから「出版する」というニュアンスが生じて冒頭の意味につながっている。なお、issueはコアイメージから色々な意味に派生している多義語となるので気になる方はDUOの解説を読んで頂ければと思う。
📘issue:DUOの例文#390で説明済 - run its courseで「自然経過する」といった感じの意味。直訳すれば「その道(自然なあるべき道)を走る」ということ。病人の経過観察という意味合いでlet the illness run its course(直訳:病気を走らせておく)という表現を聞いたことがある。本題に戻って、この文章の場合は、had run its courseという完了形で使われているので「一通り走り切った後に」という意味合いとなる。
On the back cover of their final issue was a photograph of an early morning country road, the kind you might find yourself hitchhiking on if you were so adventurous.
- 文章の構造が分かりにくいが、①コンマまではthereが省略された倒置文、②コンマ以降は直前のan early morning country roadを説明している文章と考えると理解しやすいと思う。
①について
There was a photograph of an early morning country road on the back cover of their final issue(最終号のバックカバーに早朝の田舎道の写真がある)という文章で赤字の部分(バックカバーに)というのを強調したいのでこれを前に移動。加えて、Thereも省略。なお、countryはここでは「田舎」という意味。語源はcontra-(反対)に由来しており、①海の反対側にあるもの「陸」「島」→「国」、②町の反対にあるもの→自然が沢山ある「田舎」ということ。
②について
the kind (of a road which) you might find yourself hitchhiking onといった形で括弧部分を補ってやると分かりやすい。kindは「種類」という意味を持っており、kind of…で「…のような」という意味。そのため「ヒッチハイクするときに見つけるかもしれない道のような」といった感じ。なお、find O ..ingで「Oが…しているのを見つける」という意味なので「あなた自身がヒッチハイクするを(あなたが)見つける」→「あなたがヒッチハイクする」ということ。
📘sort of…:kind ofも併せてDUOの例文#315で説明済 - if you were so adventurous(冒険好きなら)という意味。文法的には仮定法過去となる。仮定法過去はリンク先で説明しているように「現在の事実に反する仮定・内容」を意味する。そのため、ジョブズはオーディエンス(卒業生)がそれほど冒険好きだとは思っていないということだと思う。
Beneath were the words, “Stay hungry, stay foolish."
- beneathは「下に」という意味。フォーマルな表現となるので、日常的にはunderneathやunderが使われることが多い。
It was their farewell message as they signed off.
- farewell messageで「別れの言葉」という意味。fare(交通料金)という単語からも想像できるようにfareの語源は「旅をする」ということ。そのため、farewellで「良い旅を」→「別れの」という意味になる。farewell party(送別会)という表現は比較的日本でも耳にすることがあると思う。
📘welfare:DUOの例文#029で説明済
📘fare:DUOの例文#297で説明済 - sign offで「ペンを置く」「辞職する」「締めくくる」等の意味を持つ句動詞。分解して考えれば、sign(サインする)+off(分離)→「サイン(署名)をして離れる」といったイメージから冒頭の意味につながっている。
And I have always wished that for myself, and now, as you graduate to begin anew, I wish that for you. Stay hungry, stay foolish.
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