4.5 仮定法過去

2020年7月19日

仮定法過去

仮定法過去は「現在の事実に反する仮定・内容」「可能性の低い仮定」を表す表現です。具体例を挙げれば次のような文章です。

  1. ① If there were no water, the trees would not be green.(もし水がなかったら、木は緑ではないだろう)
  2. ② If you won the lottery, would you quit your job?(もし宝くじが当たったら仕事をやめますか?)
  3. ③ It is about time you got down to business.(君はそろそろ仕事に取りかかる時だ)
  4. ④ He acts as if he were a millionaire.(彼はまるで大金持ちのように振舞う)

赤字部分を見れば一目瞭然ですが、過去形を使って表現しているというのが仮定法過去の特徴です。なお、上記例文で、①は現在の事実に反する仮定、②は可能性の低い仮定、③④は現在の事実に反する内容、となっています。

仮定法過去の直感的な理解としては、「現在の事実に反する(起きうる可能性が低いものも含む)」ことを示すため、現在形から距離を取った過去形を使った表現と考えるとよいと思います。

なお、この中で理解しにくいのが③④の現在の事実に反する内容になると思います。仮定法過去というネーミングからはちょっと想像しにくい用法ではありますが、③はget down to business(仕事に取りかかる)という部分を過去形にして「実際にはやってない」ということを明示し、本来はそうするべきだという含みを持たせた表現。④はhe is a millionaire(彼は大金持ち)という部分を過去形にして「実際にはそうでない」ということを明示した表現となります。

動詞の過去形?

仮定法過去は「現在の事実に反する(起きうる可能性が低いものも含む)」ということを示すため、現在形から距離を取った過去形を使っていると説明しました。

ただ、例文として挙げた①はIf there wereではなくIf there was、④はhe were a millionaireではなくhe was a millionaireではないの?と疑問に思われた方もいるかと思います。この辺りについて少し補足しておきたいと思います。

くどいようですが、仮定法は接続法(心の中で思っていること、現実で起きてないこと)の一部です。そして、本来の接続法には直接法とは異なる動詞の活用形があります。

そのため、仮定法過去に相当する表現は、本来は下図で示す赤線(接続法側)の過去形を用いることになります。単なる(直接法の)過去形ではなく、接続法の過去形というのがポイントです。ただ、英語は直接法と接続法の境界が曖昧となり直接法メインの言語となっている関係で、青色で示される単なる(直接法の)過去形を用いるようになっているということです。

そのため、英語の場合は、基本的には単なる(直接法の)過去形と考えておけば良いのですが、be動詞に限ってはwereを使っています。おそらくですが、be動詞のみ赤→青への移行が進まずに今でも赤で表現しているということだと思っています。

ちなみに、カジュアルな文章ではwereを使わずに単なる(直接法の)過去形を使うというケースも結構出てきています。例を挙げれば、スティーブジョブズがスタンフォード大学で行ったスピーチに下記文章があります。

If you live each day as if it was your last, someday you’ll most certainly be right.(毎日を人生最後の日であるかのように生きていれば、いつか必ずその通りになる)

文法的には、as if it wereが正なのですが、単なる(直接法の)過去形であるwasが使われているのが分かると思います。上述の内容からも「接続法と直接法の境界が曖昧になっている」「英語は直接法メインの言語」というのが理解できると思います。

条件文の帰結節について

冒頭で挙げた4つの例文の内、下記①②は現実に反する仮定を表した条件文となります。ここではその帰結節について説明していきます。仮定法過去の帰結節は青字で書いたように助動詞Wouldを使って表します。これは、will(意志・確度の高い予測)を少しマイルドにしたwouldを使うと理解しておけばよいと思います。

  1. ① If there were no water, the trees would not be green.(もし水がなかったら、木は緑ではないだろう)
  2. ② If you won the lottery, would you quit your job?(もし宝くじが当たったら仕事をやめますか?)

ポルトガル語における仮定法

ポルトガル語の仮定法には、①未来を表す仮定、②現在の事実に反する仮定、③過去の事実に反する仮定、という3つが存在します。この3つの内、上述した英語の仮定法過去に相当するのが②現在の事実に反する仮定となります。そのため、ここでは②に特化した話をしていきたいと思います。

ちなみに、①の未来を表す仮定は「明日雨が降れば…」といった内容です。ご存知のように、英語ではという直接法を使って表現します。

ポルトガル語における現在の事実に反する仮定

ポルトガル語では、接続法不完全過去形の1つの用法として「現在の事実に反する仮定」があります。

接続法不完全過去形と書くと物々しい感じがしますが、要は動詞の活用が接続法の中の不完全過去形ということです。上で掲載した図を用いて説明すれば、下図の赤線部分の活用を使うということです(ポルトガル語には完全過去と不完全過去がありますが、図では一括りに過去としています)。

これは、接続法→仮定法、不完全過去→過去形という変換をしてやれば、英語の仮定法過去に他なりません。

参考までにいくつか例文を紹介します。赤字部分が接続法不完全過去の活用形となります。

  1. ① Se eu fosse rico, eu viajaria todos os anos para o Brasil.(私が金持ちであれば、毎年ブラジルに旅行するのですが)
  2. ② Se eu tivesse tempo, eu passaria na sua casa hoje.(もし私に時間があれば、今日あなたの家に寄るのですが)
  3. ③ Estas pedras brilham como se fossem diamentes.(これらの石はまるでダイアモンドであるかのように輝きます)
  4. ④ Ela andava como se estivesse pisando em ovos.(彼女は卵を踏んでいるかのように歩きました)

Posted by linguagem