【英文法解説】仮定法現在と命令形 ~仮定法の攻略~
仮定法現在は「今はやってないけど、これからやってよね」ということです。「動詞の原形」を使って表現します。実は動詞の原形で表される「命令形」もその仲間となります。
仮定法の全体像は下記で説明しています。本記事から読まれている方は、まず下記記事を読まれることをお勧めします。
命令形も仮定法現在の仲間?
文法書の受け売りですが、仮定法現在というのは「要求や提案を表すとき、that節の中の動詞を活用せずに原形を使う文章」のことを言います。具体例を挙げれば次のような文章です。
赤字の部分が「動詞の原形」になっているのが分かると思います。そして、同じ原形を使う身近な表現としては命令形が存在します。そのため、命令形も接続法現在の仲間と言えます。
両者に共通するのは「今はやってないけど、これからやってよね」ということを「動詞の原形」で表しているという点です。
なぜ動詞の原形なのか?
この辺りは「接続法」と「直接法」の違いが関係しています。背景を知りたい方は下記記事をまず一読頂くことをお勧めします。「覚えてしまえばいい」という方は、この項目自体を飛ばして頂いても大丈夫です。
接続法の動詞活用→動詞の原形(簡略化)
少し復習となりますが、上記リンクしている記事にて「英語は直接法と接続法の境界が曖昧となり、直接法メインの言語となっていったのではないか」という話をしました。
そして「接続法には直接法と異なる動詞の活用があり、動詞によって明確に法を区別している」ということも併せて説明しました。
つまり「直接法メインの言語となる」ということは、言い換えれば「接続法としての動詞の活用を意識しなくなる」ということです。
管理人の推測を多分に含みますが「接続法の動詞活用って覚えるの大変」→「直接法と違うってことだけ分かればいいよね」→「じゃあ、直接法の動詞活用に属さない動詞の原形を使おっか」といった流れで簡略化が起きたのではないかと考えてます。
仮定法現在には時制の一致が起きない?
仮定法現在には時制の一致(*)が起きないという文法ルールが存在します。例文で示せば次のような形です。
suggest, suggestedに関わらず「that節の中はgo(原形)」となっているのが分かると思います。
これもルールとして覚えてしまえばよいのですが「直接法と違うもの」を「動詞の原形」で表している訳なので、必然的に時制の一致は起きないと考えることができます。
I tell the police that I am British.(私は警察に自分は英国人であると言う)という文章のtellを過去形にすると、普通はthat節の中もその影響を受けて、I told the police that I was British.(私は警察に自分は英国人であると言った)となります。
これを文法用語で時制の一致と呼びます。敢えて一致させない場合(強調したい時など)もあるのですが、詳細は大西先生の本に書かれているので気になる方は一読されると良いと思います。
動詞の原形以外を使う場合
仮定法現在は「動詞の原形」を使うことを説明してきました。
ただ、動詞の原形以外にも、1)shouldを用いる、2)直接法を用いる、というパターンも存在します。例文で示せば次のような形です。
簡単に説明すると、shouldを使うパターンは主にイギリスで用いられ「今はやってないけど、これからやってよね」というのをshould(当然そうすべきだよね)を用いて表しているということ。
また、直接法パターンは接続法を使わないカジュアルな表現ということになります。この辺りの詳細については、表現のための実践ロイヤル英文法に掲載されているので、興味のある方は一読されると良いと思います。
上述の内容から「接続法と直接法の境界が曖昧になっている」「英語は直接法メインの言語」というのが感じ取れると思います。
仮定法現在というネーミングについて
何度も繰り返しますが、仮定法現在は「今はやってないけど、これからやってよね」ということを表す表現です。
でも、仮定という日本語は「もし~なら/だったら」を意味するのになぜ仮定法の括りなの?という疑問も持つ方も多いと思います。実際、管理人もそのように感じました。
これは「仮定法現在」という表現は、本来「接続法の動詞の現在形で表現される」ためだと思います。経緯を纏めると次のような感じになると思います。
- 英語においては、直接法と接続法の境界が曖昧になる
- 特に、仮定法を除く接続法はそれが顕著になる
- 接続法=仮定法という用語統一を行う
- 接続法現在→仮定法現在となる
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