4.2 直接法と接続法

2020年7月19日

はじめに

ポルトガル語の文法には直接法や接続法という用語が登場します。通常、英文法ではあまり使われない用語なので、ポルトガル語学習者にとっては躓きやすいポイントの一つだと思います。実際、管理人も最初は全くピンと来ませんでした。

後ほど説明しますが、英語は発達の過程で直接法メインとなった言語だと推測しています。そのため、そもそも直接法や接続法といった区別を意識する必要性がなくなってきているのがその背景だと思っています。

ただ、英語には接続法が全くないかというとそうでもなく、その名残を持つものも存在しています。具体的には、仮定法や命令形といった表現です。

そして、表現のためのロイヤル英文法をはじめとする多くの文法書で、接続法の一部である仮定法だけは直接法と区別して説明されています。

これはどういうことかと言うと、ほとんどの接続法は直接法に侵食されていったのですが、仮定法だけは直接法と一応区別されているということです。ただ、口語などのカジュアルな場面ではこの区別も曖昧になってきてます。

ポルトガル語の接続法を勉強されてない方は上記内容がいまいちピンとこないと思いますが、学習後に再読頂ければ頭の中にスッと入ってきて実感もして頂けると思います。

当サイトは、英語⇒ポルトガル語への架け橋という視点で書いていますので、ポルトガル語文法の深い部分にまでは突っ込まない予定ですが、少なくとも上記説明が理解できるレベルの内容は書いていこうと思います。

直接法と接続法について

まずは直接法と接続法の定義から確認してきます。端的に言えば、直接法は「現実形」で接続法は「非現実形」となります。

もう少し噛み砕いて説明すると、直接法は「実際に起きたこと」「実際に起きること」を表すのに対し、接続法は仮定、希望、想像、疑問等の「心の中で思っているだけの内容」「実際には起きてない内容」を表すのに使われます。まとめれば次のような形です。

概要説明
直接法現実形実際に起きたこと。起きること。etc
接続法非現実形心の中で思っていること(仮定、希望、想像、疑問 etc)。現実に起きてないこと。etc

英語における「法」について

直接法と接続法についての詳細に入る前に、英語における「法」について簡単に触れておきたいと思います。

ポルトガル語に限った話ではありませんが、ヨーロッパ圏の言語は、直接法や接続法が動詞の活用として明確に区別されています。大学の第二外国語でヨーロッパ圏の言語を専攻された経験のある方はご存知かと思います。では、英語はどうでしょうか?

管理人はその区別が曖昧になっていると感じています。英語史を本格的に勉強したわけではないので、あくまで感覚的な話になりますが、次のような理解をしています。

英語にも直接法や接続法という明確な区別がもともとは存在していた。ただ、言語の発達過程において、その境界が次第に曖昧となり、接続法が直接法に吸収されていった。結果、英語は直接法メインの言語となり、接続法の一部である命令形や仮定法がその名残を残しつつ現代英語でも使われている。

上述したように、直接法や接続法が明確に区別されている言語では動詞の活用が異なります。接続法が直接法に吸収されるということは、動詞の活用が減るということです。

結果、文法は簡略化され、英語が幅広く使われるグローバルスタンダードな言語としての位置を築く一因となっているのだと思います。

法の時制について

英語では、過去形、現在形、現在完了形等の時制があるのは学校で習ったと思います。また、上述したように、英語は直接法メインの言語でした。ということは、学校で習ったこれらの形は、全て「直接法の時制」ということです。

一方、ポルトガル語を始めとするヨーロッパ圏の言語は、直接法と接続法が明確に区別されているのでした。。。察しの良い方はもうお気付きだと思いますが、直接法だけでなく、接続法にも時制が存在します。ということは、、、動詞の活用が無数に存在するということです。

百聞は一見に如かずです。ポルトガル語には、-AR動詞、-ER動詞、-IR動詞という3つの規則動詞が存在します(原形が-○○で終わる動詞という意味)。それぞれの「法」に対する時制の動詞活用をまとめると下図のようになります。解像度が低くてすみません。

↓管理人がポル語学習時に作ったリスト(赤字と青字が動詞活用末尾の変化です)。


ヨーロッパ圏の言語は文法が難しく、動詞の活用が覚えきれないという話を聞いたことがある方もいると思いますが、上図を見て頂ければ一目瞭然です。もちろん、規則動詞だけでなく、不規則動詞も多数存在します。

ポルトガル語における「法」の時制について

本記事は、英語⇒ポルトガル語の架け橋という趣旨で書いています。そのため、上述したポルトガル語の直接法/接続法の各時制(動詞の活用)についての説明は対象外としています。

というよりは、基礎編で紹介したブラジル人による生きたブラジルポルトガル語に非常に分かりやすく説明されています。そのため、本格的にポルトガル語を学ばれる方はそちらで学習頂くのがお勧めです。

Posted by linguagem